雑記

銘記せよ、秒速で。

これまで生きてきたということは、すなわち、これまで死を免れてきたということである。そして、そのことはすでにまごうことなき奇跡なのである。それを奇跡ではなく、ただの偶然の重なりに過ぎないというのならば、ではいったい何を奇跡と呼べばよいのか。 …

雨の日には一日中家の中にいて、ずっと雨音を聴いている自由と時間。

ある休みの日の朝に目を覚ますと、窓の外から雨の音が聞こえてきて、「あ、雨だ…」と思い、そして少し憂鬱な気分になる。しかしよく考えてみるとその日は日曜日だから、学校には行かなくてもよいのだということを思い出す。「あー今日は休みだー」と思う。そ…

水紋天珠

あの悲しみや苦しみはコアのようにおのれの内にずっと残っているものの、それに思考や行動を大きく左右されなくなってきたのは、精神系が回復基調にあるからだろうか。あるいは歳を経て自らに対してもまた老獪さを増し、そういったコアへの対処法あるいは処…

温い時間は過ぎ去って

光さえもまどろむ午後、土に埋まった罐のように赤錆れた時間は、いつまでも温く澱んで流れずにとどまるかのように見え、その実は目に見えぬほどの高速で一瞬のうちに流れ去ってしまう。 いつしか届きそうで届き得なくなったそれは、遙か昔に打ち棄てられ褪色…

梁塵秘抄

釈迦の御法のうちにして、五戒三帰を保たしめ、ひとたび南無といふ人は、花の苑にて道成りぬ 佛は様々にいませども、まことは一佛なりとかや、薬師も弥陀も釈迦弥勒も、さながら大日とこそ聞け 佛は常にいませども、現ならぬぞあはれなる、人の音せぬ暁に、…

静電気

指先と指先のあいだにバチッと静電気が飛んだ。その瞬間、「あっ、ごめんなさい」と相手が手を引っ込めた。陰陽両極があってはじめて成立する静電気に、どちらのせいということはないはずなのに。

俺はセイウチ

俺はあいつなんだ。お前があいつであるように、お前が俺であるように。つまり俺たちはみんな同じなんだ。 見ろよ、豚どもが銃を向けられて跳び惑ってるぜ。逃げ惑う代わりに。 私は泣いているのです。 コーンフレークの上に座ってさ、迎えのバンを待ってるん…

窓の外の光景が私を脅かす。

窓の外に広がる、自分とは何の関係もない光景が、あるいは何%かは関係のある光景が、私を脅かす。 その窓から見えるのは、物知り顔に列なして居並ぶ甍。いつまでも、どこまでも渝らざる甍。そして、それ越しに見えるのは、やがて死に行く患者の病室の明かり…

時間が流れている。

まるで、水の流れる音に耳を澄ますように、時間の流れる音に耳を澄ませている。 そんなふうにしていると、雑念という名の雑草がみるみるうちに繁茂して、あっという間に極彩色の熱帯性ジャングルを形成する。なんとしても蔓に絡め取られないように、なんとし…

悲しみも苦しみ憎しみも、ぜんぶ、粘土細工のように

てのひらに乗せて、慈しむ朝。

マルチタスク

昼弁当を食いながら、モニタを見た。 ラジオを聴きながら、文庫本を読んだ。 快楽に遊びながら、この地獄をめぐった。 愛の言葉を探しながら、吉野家の24時だ。 iPodを曲送りしながら、ステアリングを握った。 携帯に没頭するふりしながら、周囲を盗み見た…

ネットというのはつくづく怖ろしいものだ。

今朝、職場に着いてネットをつらつら覧るに、なんと私が昨日酔っぱらって書き散らかした文章が当ブログにアップされていた。しかのみならず、このような辺境の地にまではてなスターがついていたのである。それにしても読めば読むほど支離滅裂な文章だった。…

会者定離

いつも思い出しながら、いや、思い出そうとして思い出せないまま、不相応な涼風が、皮一枚だけを冷やして過ぎてゆく。 煙のように薄く薄く、しかし連綿と続いていたのは何だったのだろうか。 夜の月を観て死の静かさを思う。然り。しかし昼の月を観て思うの…

これから行おうとする犯罪でも、恋愛でも、仕事でも

とにかく、論理的に考えることをまず是とせよ。可能な限り収集できるデータを確保。 で、データを収拾ししおえたら、第2段階に移行。 全部のデータを突き合わせる。適合不適合。これをあらかじめ用意し示しておいた仕様にてらして決定する. 話はそれだけだ…

交換可能性

ずっと以前から、「交換可能性」あるいは「交換不可能性」ということを考え続けてきた。 そして、これからもずっと考え続けることになるのだろう。 車のタイヤがパンクすれば、交換する。 パソコンがクラッシュすれば、交換する。 ある店のサービスに瑕疵が…

もうあかん

なんでさっき上げたエントリを削除されちゃったのかなあ…真引きさん。 たった一行のエントリだったけど、私のいまの心境にぴったりくる言葉だった。不思議だ。 私のこのエントリもまた、自己満足の感傷に過ぎないのかな。 ねえ、真引きさん、答えてよ。

誰かの美しい思い出となりおおせることも、その人にとってひとつの供養になり得る。

ねとらじ展望

寝付けない夜には、無音のなかじっとしているよりも、何か音を流しておくと寝付きがよくなる。行方不明になった対象を意識=感覚が探している状態というのは、結果的にその意識=感覚が研ぎ澄まされてゆくことを招くので、ノイズでもいいから意識=感覚が把…

カプリース

夏が高らかにその終わりを告げ、雲間からの陽光がもたらしているのだろう余熱と、それに相反し冷涼として通る風が、またもや訪れるはずの季節という反復を想起させる。そして私は、iPodを耳に突っ込んで、相も変わらず縁側に腰掛けたり横たわったりして、そ…

リインカーネーション

生きることとは、13階段を一歩、また一歩と登り進めていくようなものだということは、もはや衆目の一致するところだが、人が死に至るのは何も13階段を登り詰めたそのてっぺんにおいてだけではない。人は、13階段を一段登るたびに死に、また一段登るたびに生…

梅雨の晴れ間

昼休み、向かいのビルを眺めていた。 白い壁からの照り返しが窓越しにデスクに置かれたペットボトルにまで届いており、そして場違いなまでに抜けるような青空が窓の外にはあった。 はるか昔、まだ生まれる前の昔に、いつか自分がこういう光景を目にしたよう…

ハロー、グッバイ。

日記を書かなくなって随分の時間が過ぎていた。 時の流れは、これほどまでに速いものであったのか、 という感慨などはなかった。 時の流れとは残酷なもので、そこに生きる無数の人々に僅かな欠員が生じたところで、時間の流れの中でいつしかそれは忘れ去られ…

U.T

U.Tがあたしのそばにいるようになったのは、いつの頃からだったろう。今となってはもう分からないけれど、少なくともあたしが物心ついた頃には、U.Tはすでにあたしのそばにいた。 U.Tとあたしは、ずっと一緒にいた。儚い夏も、厳しい冬も、苦しい朝…

働かないということ。

さいきん働いていないせいで、もうずっとずっと前から働くことをやめてしまったような気がするのは奇妙なものだ。普通の人は、明日辺りから仕事始めなのだろうけれど、しかし私は明日も明後日も明明後日も休みであって、もう正月というイベントもなんだかう…

秋夜寄丘二十二員外

懐君屬秋夜 散歩咏涼天 山空松子落 幽人應未眠 秋夜、丘二十二員外に寄す 君を懐ふは秋夜に属し 散歩して涼天に詠ず 山空しゅうして松子落つ 幽人未だまさに眠らざるべし 井伏鱒二「厄除け詩集」の訳詩。 ケンチコヒシヤヨサムノバンニ アチラコチラデブンガ…

八百比丘尼

昔、真名子の里に朝日長者と呼ばれた夫婦が住んでいた。夫婦には子が無く、2人は庚申様に子が授かるよう祈った。祈りが通じたのか、やがて女の子が産まれた。女の子は八重姫と名付けられた。 姫が七つのとき、長者の邸宅に白髪の老翁が訪れ、長者を自分の家…

又いつもと変わらぬ一週間が始まる。

変わるのは季節だけ。

なんなんだ

この中途半端っぷりは。

出勤。

曇り時々晴れ。 奇妙な陥没地帯が広がっている。

外に降る雨

昼間から降り続いている雨が、夜になって少し強くなってきた。 あまつさえ、風も強くなっていて、辺りに叩き付けられる風雨の音が、波状になってここまで聞こえてきている。 いままで長い間、雨の音をじっと聴いていた。 単調に降り続く雨の音を聴いていると…