ねとらじ展望

寝付けない夜には、無音のなかじっとしているよりも、何か音を流しておくと寝付きがよくなる。行方不明になった対象を意識=感覚が探している状態というのは、結果的にその意識=感覚が研ぎ澄まされてゆくことを招くので、ノイズでもいいから意識=感覚が把握できる対象を適当につかましておくのがよい。

入眠前に聴くのは音楽でもいいのだが、私の場合、以前はラジオの深夜放送を聴いていた。よく聴いていたのはAM帯で、TBSの「伊集院光深夜の馬鹿力」とか、NHKの「ラジオ深夜便」あたりである。ただ伊集院の番組は放送が月曜深夜のみだし、ラジオ深夜便は内容があまりにも老人向けなので聴き続けるのは少々つらい。不思議なことに、ラジオの深夜放送というのはリスナーの嗜好がはっきり分かれるてしまうもので、好みでない番組は一分間も聴いていることができないもののようだ。これは、コアなリスナーをピンポイントで狙い撃ちするという深夜放送というものが持つ特質にも起因するのだろう。

最近数年来は、眠気が訪れるまで、ねとらじを流しておくようになった。
ねとらじとは、livedoorインターネットラジオサービスである。調べたわけではないが、同種のサービスでは国内最大手ではないかと思う。

 livedoor ネットラジオ / ねとらじ
 http://live.ladio.livedoor.com/

下記サイトで配布されているねとらじヘッドライン取得ツール「RAZIE」 は、残念なことにVer0.95bをもって開発が中止されている。しかし、いまだに極めて有用なソフトであるのは間違いない。煩瑣になるから詳述は避けるが、いろんな機能が搭載されているのでヘビーリスナーには必携のツールである。

 こたらんど
 http://kotaland.atukan.com/

で、ねとらじについてなんだけどね。まあ…、素人が自前でやっているねとらじと、プロのスタッフ達が高価なブースや機材を使って行う商業放送とは比べるまでもないのだが、私はねとらじの素人臭さ(というかまんま素人手作り)が好きだし、草の根通信の細々とした雰囲気も好きだ。

ここ一年ぐらいの傾向として、ねとらじにも2ちゃんねるからのDJ進出が目立つようになり、アニメとかゲームをテーマとする番組が増えた。私はそれらのジャンルについてはほとんど興味がないので、やや辟易しているところではあるのだが、そのムーブメントがねとらじ全体の隆盛に繋がっている面もあるから、一概には否定できないとも思っている。

掲示板の書き込みを通してリスナーと対話するスタイル、そしてまた、Skypeを通してリスナーと対話するスタイルなど、双方向メディアとしてのねとらじの可能性も見えてきている。ここにもまた、コミュニケーションの新しい形が提示されているように思われる。

そして、ここで人がもとめているもの、それは無償の絆なのだろうと思う。人にそれを促すのは孤独である。